「サステナビリティ・オフィサー」資格獲得、および環境省の認定制度「脱炭素アドバイザー ベーシック」を取得しました

Pocket

SDGs、気候変動、サステナビリティについて、体系的に理解していますか?

SDGs、インパクト、サステナビリティ、ネイチャーポジティブなど、色々な言葉や概念があり、グローバルによるイニシアティブやガイドライン、国内をみても国による政策や法整備、規制、ESG投資や投融資にかかるスクリーニング、認証制度、助成金と大小さまざまな取組が日々生まれています。

企業においては、こうした世界規模での動きに呼応しながら、新規事業開発や商品開発、サプライチェーンの見直し、ステークホルダーとの対話、人権デューデリジェンス、サステナビリティ部署の新設、サステナビリティレポートやインパクトレポートといった報告書作成などがいまや求められており、新規で部署を立ち上げるところも増えてきました。

脱炭素やサステナビリティに関する知識や人材をいかに確保するかが企業経営においても重要な点になりそうです。

そこで、先日、一般社団法人金融財政事情研究会(通称、きんざい)が主催する、サステナビリティ検定「サステナビリティ・オフィサー」の資格試験に受験したところ、無事に合格しましたので、それについて少しお話してみたいと思います。

サステナビリティ・オフィサー資格とは

サステナビリティ・オフィサー資格は、気候変動の基本的な内容から、企業の環境への対応や脱炭素経営・温室効果ガス排出量削減、金融機関からの資金調達に役立つファイナンス手法まで、幅広くサステナビリティに関する知識の習得度を検証する試験。企業とそれをとりまくステークホルダーとの対話コンサルティングに必要な知識の習得度を検証するものです。(文末に、資格試験の内容を記載しています)

▼サステナビリティ・オフィサー試験について
https://www.kinzai.or.jp/kentei/sus/index.html

試験は、主催団体がきんざいなので、主に金融機関の人向けに多少内容はなっていますが、企業の経営者、CxO、患部、マネージャー、サステナビリティ担当者なども体系的に理解して損はない内容です。

昨今でも、企業内にサステナビリティ・オフィサーという肩書きを付けた役職や立場の人もでてきましたね。

私自身、普段から気候変動や脱炭素、サステナビリティについてそれなりに知識や経験もあると思っておりましたが、改めて体系的に学べたことで深い理解が得られました。試験勉強は、きんざいが発行しているサステナビリティ・オフィサーの試験問題集が主で(一応、きんざいによるサステナビリティファイナンスに関する講義動画も有料であります)で、試験問題集を何周かして試験に臨みました。

環境省の資格認定制度「脱炭素アドバイザー」とは

また、サステナビリティ・オフィサーは、環境省の認定制度 脱炭素アドバイザー」が同時に付与され、サステナビリティ・オフィサー資格合格により、「脱炭素アドバイザー ベーシック」の資格を名乗ることができます。

これにより、温室効果ガスの排出計測や排出量削減に向けたアドバイス、脱炭素経営に向けた指針指示等で活躍できる人材としての国の認証資格になります。

▼環境省 脱炭素アドバイザー資格制度認定 について
https://policies.env.go.jp/policy/decarbonization_advisor/

脱炭素化推進に向け、適切な知識を備えた人材を企業内外で活躍させるための制度で、環境省による資格認定ガイドラインに合格した民間資格試験が採用されています。きんざいのサステナビリティ・オフィサー資格は、そのうちの一つなのです。

環境省 脱炭素アドバイザー資格認定制度とは

なお、この環境省の認定制度は3つの認定レベルがあり、ベーシック、アドバンスト、シニアアドバイザーと段階があります。民間資格の認証がまだベーシック承認されていないのですが、もう少ししたら承認も下りるのでは、と思います。

その他の民間資格でいうと、「GX検定ベーシック」は気候変動や脱炭素に向けた背景や動き、世界の動向、日本政府の動向、企業の取組、さらに、具体的な再エネ技術など脱炭素技術について問われる内容で、各資格試験によって多少の違いはあるものの、大枠はほぼ同じようなものだと思います。GX検定は、e-ラーニングによる講義動画が試験のシラバスに対応しているので、e-ラーニングによる講義をなんども聴いて勉強することができます。

▼GX検定 
https://green-transformation.jp/gx_certification/

GX検定は、ベーシック、アドバンスト、スペシャリストとレベルが設けられており、先の環境省の認定制度にそれぞれに対応した内容になっています。スペシャリストになると、産出量の算定計算や具体的な情報開示について問われたりします。

環境省 脱炭素アドバイザー資格認定制度事業 3つの認定レベルについて

GX検定は、経産省のGXリーグにおいてGX推進のスキル策定に対応したものになっているため、企業の研修などでGX検定を使うとよいかもしれません。

きんざいのサステナビリティ・オフィサーは、22年の秋頃から始まったものなので、取得してる人もまだそこまで多くないと思います。きんざいの事業報告書では、受験者で22年度に1600名強、23年度の報告はまだですが、おそらくは一万人もいないのでは?と思います。(金融機関関係者でも取得してる人はそこまで多くない?)

体系的に気候変動や脱炭素を理解する一助に

上記でも触れたように、体系的に気候変動や脱炭素に関する知識や理解、企業が取り組むべき問題やファイナンス戦略などが学べるため、ビジネスに関わる人はやって損はないですし、昨今のインパクト投資やインパクトスタートアップに関わる人らも、改めてこのあたりの背景や概念、制度を体系的に理解しておくとよいのでは、と思います。IT企業において、全社員にITパスポートの資格取得を推奨するようなものに近いですね。

企業のサステナビリティレポートを読む人、作成する人、チェックする人は、マストで取得可能しておくと役に立つと思います。

私自身、国内外の気候変動や脱炭素に係るニュースやリサーチをしたり、インパクトレポートなどを読んだり作成のお手伝いなどをしたりする機会も増えてきました。

サステナビリティ・オフィサーの資格を持っているということで、企業において、まずサステナビリティに関してどのようなことをすればよいか、そもそもの知識などが足りていないと考えてる企業や団体に対して、何かしらのサポートができると思います。

ぜひ、お声がけください。


▼サステナビリティ・オフィサー試験の内容とトピック

四答択一式50問、試験時間100分、100点満点の70点以上、CBT試験で、いつでも受験可能

注)24年7月以降の試験から新しいシラバスに対応した試験内容になっています。先日、試験問題集の24年度版が発売されたので、7月以降に受験予定の人は新しい試験問題集で勉強してください

第1章 SDGs・ESG・サステナビリティの基礎知識

SDGsとは/ESG課題/気候変動に関する国際的な枠組み/気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)/グリーン成長戦略/カーボンニュートラル/健康経営・人的資本/ダイバーシティ経営/人権 etc…

第2章 企業のサステナビリティ活動

コーポレートガバナンス・コード/企業行動憲章/企業の非財務情報開示/SDGs実施指針/CDPへの環境情報開示/SDG Compass /サーキュラーエコノミー/省エネ建築(ZEB、ZEH)/SDGsウォッシュ・グリーンウォッシュ/脱炭素にかかる補助金制度 etc…

第3章 サステナビリティと金融

ESG投資/責任投資原則(PRI)/日本版スチュワード・コード/ESG金融懇談会提言/サステナブル投資戦略(ESGインテグレーション、インパクト投資・コミュニティ投資、エンゲージメント、スクリーニング)/グリーンボンド、グリーンローン/サステナビリティ・リンク・ローン/ポジティブ・インパクト・ファイナンス/ソーシャルボンド/トランジション・ファイナンス/温室効果ガス削減のソリューション/金融機関におけるマテリアリティ特定 etc…

第4章 実践事例問題

SDGs対応ニーズの喚起/移行リスク/企業活動とSDGs目標をリンクさせる/マテリアリティ特定に向けた対話・実践/KPI設定の考え方/排出量算定のアドバイス/投資家(ステークホルダー)との対話/取引先の委託元における不祥事とその発生原因・影響/サプライチェーン・マネジメント/適合原則(コンダクトリスト)etc…