記憶とは、その人に刻まれた歴史のアーカイブ。同時に、どう記憶するか、という点においてその時感じた感情や経験に意味性を持つ。
個人の記憶だけでなく、時代の歴史をどう記憶するか。ロベール・ルパージュの「887」は、まさに個人と社会の記憶を、現代も過去を往復しながら呼び起こすものだった。
さらに、そこに国の成り立ちや民族的な観点が帯びたとき、そこに時代としての記憶が浮かびあがってくる。
まさに、激動の時代を生きる僕たちにとっても、未来のためにいま起きていることをどうアーカイブしていくか、どう伝えていくか、その重要性を説くものにもなっている。
歴史は、まさに個人の記憶の積み重ねのなかに、時代としての記憶が刻まるものでもある。
ロベール・ルパージュの舞台演出の素晴らしさも含めて、2時間という夢物語のなかに没入できる舞台だった。