近況報告:結婚、出産、公正証書、遺言書

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夏の猛暑も過ぎ去り、やっと秋らしくなってきました。

8月26日に誕生日も迎え、30代も中盤に差し掛かってきたな、と実感する日々です。

8月後半は年度としてちょうど中間くらいなので、自分のこれまでとこれからという長期と、今年度前半の動きを振り返りつつ、今年後半をどう動こうかといった今年の動きという短期の狭間を揺り動きながら、自身の身の振り方を自省するのにちょうど良いタイミングだと、自分自身で勝手にそう思ってるフシがあります。

特に2018年は自身にとっても一つの節目となる出来事がたくさん起きたので、近況報告をまとめたいと思います。

「結婚」しました

まず最初に、「結婚」しました。異性婚です。3,4月にそれぞれの家族にも挨拶し、5月某日に大阪にてそれぞれの家族同士の顔合わせと御飯会、集合写真の撮影といった家族行事を行いました。

太閤園のお庭にて

御飯会は「太閤園」にて行いました。藤田傳三郎男爵が1910年に築造した網島御殿が太閤園です。風雅な庭園は各界の著名人も愛用した場所だとか。格調高い庭園や木造の建築物に囲まれながら、素敵な時間を過ごすことができました。

集合写真は、妻が以前仕事でもお世話になった「山本能楽堂」のお堂に上がらせていただき、撮影させていただきました。山本能楽堂は、今年創立90周年を迎えた歴史ある能楽堂。設立した1927年頃の大阪は大いに賑わいをみせており、謡曲を嗜む人たちの社交場として船場の旦那衆たちによって建てられました。住民、市民の力で建て最初のお堂は、第二次世界大戦の戦災で焼失、昭和25年に再建され、その後、「国登録文化財」の指定を受けるまで成長したという経緯があります。

市民とまちとともにあるお能のあり方を今なお継承し、初心者向けの能公演や子供向けの能案内、新しい観客参加型の公演など、現代的な視点をもとにした芸術活動に取り組んでおり、大阪で唯一桟敷舞台を生かし、能にこだわらない様々なイベントを行っています。

山本能楽堂の舞台

今回の家族集合写真も、本来はそういうことはあまりやられていないそうですが、せっかくの結婚祝いの集合写真ということで快諾いただきました。能楽堂のこれまでの歴史を考えてみても、こうした庶民の活動にも積極的に開いていただく姿勢を感じます。

山本さんには無理なお願いにもかかわらず笑顔でご対応いただき、なおかつ現場では「こうしたほうがいいんじゃない?」というご意見や「せっかくなら」と普段ではお目にかかれない品々を拝見させていただきました。思い出に残る撮影となり感謝しています。

撮影には、高松で活躍している知人のカメラマンの宮脇慎太郎さんにお願いし、素敵な仕上がりのフォトパネルにしてもらいました。ありがとうございました。

「子供」ができました

8月3日に子供が生まれました。愛称は「ももちゃん」です。みなさんよろしくお願いします。

出産は無痛計画分娩ができ24時間対応可能な都内の病院にお世話になりました。無痛計画分娩のため分娩日にあわせて事前入院するのですが、破水後一日経過してもなかなか陣痛が来ず、帝王切開に切り替えての出産となりました。母子ともに問題なく出産できたことで安堵しました。

妊娠直後から定期検診に一緒に付き添い、病院が主催する両親学級にも夫婦で通い、出産までに必要な準備物やお産で気をつけることなども学びながら出産に臨みました。

出産前後はどういう状況になるかがわからないため、できるだけ家庭に集中するよう自主的な育休を設定。出産日前後は仕事を一切いれないように周囲には妊娠中から早めに調整連絡や共有をしたことで、無理のない形で出産を迎えることができました。普段お仕事や活動でご一緒させてもらっている方々にはご不便やご迷惑をおかけしました。お陰様で無事に出産できました。

一ヶ月検診も終わり、子供は順調に成長しています。おむつ交換や授乳、検診、予防接種、親戚付き合い、同じ子供を持つ人達との交流、その他体調変化など育児にまつわるあらゆる出来事を踏まえ、子供の時間を確保しながら仕事を調整するために、現在もできるだけ在宅仕事に切り替えています。

当面は育児シフト体制のライフスタイルを過ごすので夜の会食を頻繁にいれるのは難しく、19時以降のMTGも要調整になります。できるだけ朝MTGやランチMTG等で対応いただけると嬉しいです。こういうときに、クラウドで資料を保存していたり、Slack等のコミュニケーションツール、テレカンを活用したMTG設定を普段から行っているのが活きてきますね。もちろん、打ち合わせ等で必要な対面もあるので、そこはうまく調整しながらやりくりしています。

特に重要な夜中の授乳は互いにシフト制にし、互いに寝不足や体調に無理のない形をとっています。妻が気晴らし兼ねて一人で自由に出掛ける時間を確保するために、日々予定の調整を工夫しながら夫婦それぞれで平等に子供を世話しています。もともと、掃除や料理なども比較的できるほうなので、互いに偏りなく、あらゆる家事をそれぞれが分担したり共有したりしながらやっています。とはいえ、ちまたで言われるような「イクメン」と言いたいわけでもなく、夫婦ともに平等に家族という共同体を運営していこうと互いにやりとりするという考えで過ごしているにすぎません。

10月を過ぎたら保育園の申請(いわゆる「保活」)も控えています。すでに近所の保育園を調査・見学(出産前後は多忙だと考え、春先や夏前など妊娠中に夫婦、時には私一人で見学対応することも)しながら、急激に変化していく日々の生活スタイルを確立するために奔走しています。

お子さんがいるご友人や周囲のみなさんとも、ぜひ家族付き合いをしていきたいと思いますので、今後とも夫婦、子供共々よろしくお願いいたします。

「結婚」の「公正証書」を作成しました

結婚時期と子供の出産からお察しの方もいるかもしれませんが、妊娠から結婚へと至ったケースです。そして「結婚」したとご報告しましたが、形としては「法律婚」ではなく、いわゆる婚姻届を出していない「事実婚」での「結婚」です。

ここ数年で互いの価値観や考えを踏まえて法律婚ではない形を取る方も増えてきました。「夫婦別姓」も最近では注目されています。現状では夫婦別姓をするには事実婚をしなければいけません。

私を古くから知ってる友人は、夫婦別姓に関する考え方や、養子や里親を積極的に受け入れたいという考えなど、私なりの夫婦や家族の考え方を持っていることを理解している方もいると思います。

私としては、男性と女性における性差別の問題、性的マイノリティな生き方、アイデンティティに関する問題などをなくし、互いの尊厳を守り、人権を尊重し、誰もが自身の意思で自由に選択し、多様な価値観や生き方が共存できる豊かな社会であってほしいと考えており、そうした社会になるために行動したいと思っています。

夫婦別姓もそうした考えに立脚しています。しかしこれは夫婦同姓を否定するものではなく、意思によって夫婦同姓を受け入れる方も否定しないということです。家柄、それぞれの都合、考え方、生き方などあらゆる価値観を内包し、選択肢を社会がきちんと提示するための仕組みを作るためにできることをしていきたいと考えているからです。

また、法律婚そのものを否定したいわけではありません。法律婚だからこその様々な控除や権利があることも認識しています。しかし、既存の法律婚の制度が、多様な価値観や家族のあり方を内包できなくなっている現代において、本当に、現状の法律婚をそのまま受け入れるべきなのか。無自覚に、それでいて抑圧的に「法律婚でなければならない」と、もし多くの人が思っているのであれば、「本当にそうですか?」と問いたいのです。

自身の意思を持って結婚のあり方を選択し、場合によって法律婚のあり方そのものに対して疑問を投げかけ、必要に応じて新たな仕組みを築き上げる、そのために努力することこそが、より良い社会のあり方だと私は考えています。

私は、互いに対等で平等な立場(互いに生物的な違いはあるため必然的な役割分担はある)を踏まえた生き方を過ごすため、現状できうる選択肢として”現在”の法律婚を自ら積極的には選択しないという考え方を持っていました。

しかし、今回、子供が授かったことをうけ、ものすごく悩みました。子供が生まれてくることが前提のなかで、子供をどのように育てていくか。法律婚ではない結婚のあり方にどのようなメリット・デメリットがあるのか。それまで、知識としては事実婚は知っていたものの、いざ当事者として行動するにあたり、具体的な行動とどういった選択肢があるのかを調べるようになりました。それは、氏の問題のみならず、一般的な法律婚によって発生する権利や義務、遺産や相続人における親族含めた家族全般に影響のある事柄を調査し、それを踏まえて判断しようと決意しました。

自分たちで調べるだけでなく、実際にプロにも相談して議論しようと考え、「夫婦別姓.com」を運営されている行政書士の水口尚亮さんにご相談しました。水口さんは行政書士であると同時に、ご自身も事実婚をされており、かつ実子を育てているまさに実践者でもあります。

相談を踏まえた結果、現時点において事実婚にしました(もちろん、将来的に法律婚にすることもあるかもしれません)。調査・相談して見えてきたポイントはいくつもあります。

「事実婚」の場合、法律婚のように婚姻届を出すわけではなく、また事実婚の定義も「法律婚ではない婚姻関係」のような表現として使われているため、実は一括りに「事実婚」といっても様々なパターンがあります。

例えば、「世帯合併」で住民票の世帯を同一化することができます。これによって片方が世帯主となり、もう片方の続柄が「妻(未届)」や「夫(未届)」となり、これだけで「事実婚」と証明することもできます。

住民票の記載が「妻(未届)」となる

世帯合併では、役所が重婚の確認、離婚後であっても再婚禁止期間を過ぎているかなどを本籍地に確認した上で手続きを行います。ここ数年で健康保険の被扶養者や遺族年金の受取人、企業であれば会社の家族手当を世帯合併の証明書によって認めるケースも増えてきました。そうした意味において、事実婚における「結婚」を証明するものであると言えるかもしれません。

しかし、世帯合併であっても正式には法律婚における配偶者ではないため、配偶者が持つ様々な権利や控除が受けれないこと、相続税における税率に大きな違いが出てきます。仮に遺産を事実婚パートナーに渡そうとする場合、互いに遺言を書く必要があります。

事実婚夫婦において子供がいる場合、生まれた場合は「非嫡出子」として出生届と同時に妻が新しい戸籍を作り、生まれた子供は妻の戸籍の中に入ります。夫は分籍届(新しい戸籍を作ること。婚姻していなくても、個人単独の戸籍を20歳以上の成人であれば誰でも個人の意思で作ることができる)を出さない限り、両親の戸籍の中に入ったままになります。

生まれてくる子供は、男性が子供を「認知」をすることで、子供との親子関係を証明することができます。同時に、認知によって子供は法定相続人としての権利も保有します。

子供がいない事実婚夫婦の場合、世帯合併しただけでは新しい戸籍はできませんので、それぞれが両親の戸籍の中に入ったままではないでしょうか。場合によっては、それぞれの両親の戸籍から事実婚夫婦が互いに分籍して一個人として戸籍を作り、世帯合併することも考えられるでしょう。

事実婚では、今のところ「親権」は夫婦のどちらか一方しか持てません。いわゆる「単独親権」という考え方です。現在の戸籍法では法律婚で一つの戸籍のもと、夫と妻それぞれに共同で子供の親権を持ち、離婚時にどちらか一方が親権を持つかを議論することになります。

事実婚では、あらかじめどちらが親権を持つかを決めなければいけません。昨今、単独親権を見直し、法律婚夫婦が離婚後も子供の親権を互いに保有する「共同親権」に関する法制審議会の議論を法務省が検討していますが、これは法律婚のみの議論です。事実婚においても、「共同親権」は重要なポイントだと痛感しています。

親権と同時に「氏」、いわゆる苗字も決めなければいけません。基本的に、事実婚では出生届時は妻の姓を名乗り、妻が親権を持っています。夫の姓に氏に変えたり親権を夫に移したりする場合は、氏は家庭裁判所、親権は戸籍の移動などの手続きが必要になります。

他にも事実婚における細かな事柄がたくさんあり、これらの具体的なことに関しては、また追って書きたいと思います。

事実婚に際して、私も妻もそれぞれの両親に話をしたところ、思っていたよりもすんなり受け入れてもらえたのはなによりでした。学校や病院などでは、近年では外国の方との結婚、シングルマザー、離婚や再婚をされた家族のお子さんなども多く、多様な家族の形リアルなあり方がそこにはあります。そのため、事実婚であることに対してさして違和感を持つ人は少ないようでした。

病院であれば、夫婦間の証明書(世帯合併した住民票や後述する公正証書の類)を事前にかかりつけの医師に伝えておけば、いざというときでも家族面談やパートナーの医療行為の同意に携わることができる。しかし、いまだ生命保険の引受人や金融機関での住宅ローンを組む際にはハードルは多いです。知人で事実婚をしている人たちも、この部分に頭を悩ませている人も多いです。

法律婚では民法においてパートナーや家族に対して様々な権利や義務が発生しますが、現在の事実婚では互いの取り決めを拘束する手段はありません。そこで、責任ある家族生活を確立させるために、私達は「事実婚に関する契約公正証書」を作成することを選択しました。

事実婚相談をした行政書士の水口さんご自身が、ご夫婦でこの契約書を作成し、「準婚姻契約書」という名前で公正証書の契約書作成をサポートしています。「事実婚に関する契約公正証書」は、戸籍法上の届け出を出さないが、法律婚にできる限り近い法律関係・権利義務構築をするために、「公正証書」という仕組みを利用したものです。

公正証書とは、契約や遺言などの内容を公証人に証明することで私的な法律関係を明確にすることです。つまり、法的な拘束力に近い夫婦・家族における取り決めを自分たちで契約書として作成することができます。

民法や戸籍法など様々な諸問題が複雑に絡まり合っているなか、法律婚と同じ権利を持つことはできないが、法律婚によって生まれる権利や義務をできるだけ保有する方法論を見出せたことは大きかったです。

契約書のたたき台は水口さんに作成いただきましたが、この契約書を完成させるために、私達は民法における婚姻の条文をすべて読み、その条文に照らし合わせながら契約書の中身を確認し、条文を追加修正する作業を行いました。これらの一連の作業を通じて、一般的な法律婚によって規定されている権利や義務を自分たちなりにきちんと理解することができました。

契約書の中身は、民法で規定されている内容を踏襲する形にしつつ、法律婚とは違う事実婚ならではの項目も追加しています。重婚や不貞行為等の禁止事項、夫婦・家族運営における相互扶助等の遵守事項、親権や氏の取り決め、医療行為等の委任事項、子供の扶養・監護、契約解除(事実婚の解消、離婚のようなもの)の取り決め、禁止事項や遵守事項を不履行したことで契約解除になった場合の損害賠償金の設定、自身が死んだ時の死因贈与や遺言の執行等、おそらく夫婦・家族生活において想定されうるであろう内容を盛り込みました。これらの詳細は、またどこかでまとめてみたいと思います。

契約書内に、財産の帰属についての項目があります。これは、結婚以前の互いの固有財産を明記することで、契約以後の所得は共有財産とし、仮に契約解除した場合はそれぞれの固有財産は侵害されないというものです。そこで、互いの財産を明記するための「確認書」を契約書と同時に作成しました。確認書には互いの預貯金、借金(奨学金の返済等)等を記載。会社を経営したり、株式を保有したりしている人は、確認書にそれらも記載します。

仮に確認書に記載していない大きな借金などが後で発覚した場合、それは契約内容に抵触し、契約の不履行の可能性が大きくなります。互いの財産をあけっぴろげにするのも、契約書および確認書を作成する上において大きなポイントとなります。おそらく法律婚をされる夫婦でも互いの財産をすべて相手に公開することはされないと思います。互いのプライバシーを踏み込んで開示し、それを踏まえて契約書を作成するため、互いに隠し事はできません。

公正証書は、原本を公証役場が保管します。そこで、原本のコピー(正本)を夫婦が互いに一通づつ保有します。原本と正本が相違ないことを証明するため、公正証書の確認時には公証人とともに公正証書の全文を読み上げていく作業がありました。自分たちの意思で作った契約書の一文一文をすべて読みあげる行為は、ある意味で誓約書を読むような行為に近く、比較するべきではないのかもしれませんが、婚姻届を出すとは違った別の意味で「結婚」したことの実感を感じさせる瞬間でした。

契約書の作成は4,5月頃からスタートしました。しかし、妊娠がわかったのが1月下旬で、そこから身の回りの整理をしながら互いの仕事を調整し、妊娠準備に入りつつ家族行事などを追われる日々。かつ妊娠中ということもあって体調の変化や検診、出産準備、保育園の調査や見学等、妊娠出産準備だけでも大変なのに、こうした面倒な契約書を作成したりとかなりの時間と労力がかかりました。

契約書作成中に子供が出産し、出産前後の慌ただしさ、それが終わったら出生届や認知届、分籍届等の行政手続きを行い、一通り落ち着いたあとにやっと最終ドラフトが完成。内容をFixさせ書類を公証役場にて公正証書の本番のものにしてもらい、公証役場にて原本と正本の読み合わせを行い署名と印鑑を押したのは9月上旬。結果として半年近くかかってしまいました。おそらく、スムーズに進めれば2ヶ月くらいでできるのでは?と思います。

夫婦で契約書の中身をすべて吟味し、議論し、どういう夫婦生活にしたいのかを考え、すべてを確認しサインする。その過程を通じて、互いの考え方をすり合わせ、今後のライフスタイルをどうしていくのか、時間をかけて対話しました。

法律婚は、いわゆる民法が規定した婚姻のあり方を一括りにまとめてパッケージ化されたものだと考えた時、自分たちでこうして契約書を自前で作るということは、契約した内容すべてを自分たちで理解し、互いにとってより良いものにするために結婚のあり方そのものを自分たちでカスタマイズすることとも言い換えることができます。

もちろん、私達が作った証書は一つの例であり、他にも未婚出産/非婚出産といった多様な夫婦・家族のあり方があります。特段「公正証書を作成すべき」と押し付けようとは思っていません。「こういう選択肢もある」ことを知ってもらえたらと考えています。大事なのは、互いの価値観を踏まえながら、納得したあり方を模索することではないでしょうか。

公正証書の活用は、事実婚のみならず、法律婚の夫婦であっても様々な取り決めを契約することで利用することができます。成年後見人契約や生や未成年後見人契約を公正証書とすることでパートナーとの関係性を強固にすることもできます。事実、知人の事実婚(子供有)夫婦は、財産管理等委任契約と任意後見人契約の公正証書を作成したそうです。私達の結婚契約書だけでなく、法律婚夫婦も含めて、様々な夫婦のあり方として約束事を作るための方法論としての仕組みがあります。制度をうまく活用することで、多様な夫婦観や家族観を築くことができるといえるでしょう。

この範囲は異性婚だけではありません。性的マイノリティの方々のためのパートナーシップ制度では、公正証書をもとに療養看護にかかる委任を明記した合意契約や任意後見契約等を作成し、証書を行政窓口に持参することでパートナー認証を行います。性的マイノリティであっても世帯合併が行える自治体もあります。ここは、行政判断によって、どういった証明の形にするかの違いがあるような気がします。

しかし、合意契約や任意後見契約だけでは、パートナーに対して自身の財産分与まではカバーしていません。そこで、遺言を作成することでいざ何かあったときに自身の財産をパートナーに分配することができます。例えば渋谷区の資料では「区の定める要件に加え、遺言など他内容を盛り込むことも可」となっています。つまり、先の2つの契約だけではなく、遺言書を含む別の公正証書を追加することが可能なのです。私達が契約書を作成したように、家族としての取り決めや権利、義務、「結婚」を解消する場合の賠償金の設定等を踏まえた結婚契約書を作成するのも一つの手かもしれません(とはいえ、作成には時間と労力がかなりかかることも検討した上で行動してください)。

ここからは仮定の話ですが、事実婚夫婦であってもルールを定めた公正証書を行政に持参することで、既存の法律婚と同等の権利(配偶者控除や、2018年7月6日に改姓民法で制定された配偶者居住権等)を得ることも将来的にあり得るのでは?と考えることができます。とはいえ、民法戸籍法によって配偶者の考え方を規定しているためそう簡単にはいきません。しかし、現在進行系で行われているこうした事実婚夫婦やパートナーシップ制度等が広がりを見せつつあるなか、「結婚」というあり方そのものが変化してきている時代において、時代にマッチした形の法律のあり方を検討ことがますます求められてくるような気がします。(このあたりは議論の余地や具体的な法律解釈や法規制のポイントなので、弁護士の方々とも具体的に考えてみたいところです)

「遺言書」を書きました

先の事実婚の公正証書との連動で、契約書のなかに遺言について記載しています。そこで、夫婦揃って契約書の作成と同時に「遺言書」を作成しました。

遺言書は、ご存知のとおり自身が死んだときに財産贈与など自身が死亡した時に希望するあれやこれやをまとめ、死んだ際には遺言執行者が書いてあるとおりに執行します。

結婚に際して「遺言書なんて?」と思う人もいるかもしれません。しかし、事実婚では遺言がなければパートナーに対して遺産を渡すことができないため、夫婦それぞれに遺産を渡す意思があるのであれば作成しておくべきものでしょう。法律婚の配偶者は法定相続人となりますが、事実婚パートナーは贈与になります。そのため、相続税などの税金関係は大きく変わってきます。基本的には配偶者措置が取られており、ここは法律婚と事実婚の大きな違いの一つといえるでしょう。

事実婚夫婦において認知をした子供は法定相続人となるため、夫が死んだ時妻が死んだ時のそれぞれにおいて、子供は遺産を相続する権利があります(このあたりの専門的な部分は専門家にお任せし、ここで詳細は省きます)。

遺言書には「子供がいて妻が健在の場合はどう分配するか」「子供も妻もいない場合どうするか」等様々な状況に応じてその財産の行方を記載することになります。遺言書に「私が死んだ時〜」と続く文章が何回も出てくるので、自筆で何度も書いてると「本当に死んだときにどうなるんだろう」と思いながら、心穏やかに書き綴っていくようになります。記載する内容も基本的には相手に知られず、自分自身で決めることができます。遺言書はテンプレートがある程度揃ってるので、作るのはそこまで手間ではないでしょう。

財産の全部もしくは一部を非営利団体などに「遺贈寄付」することもできます。何か社会のために使ってほしいと願うのも、遺産を有効活用する一つの手です。私の場合は、内容は伏せますが贈与できる家族や親族がいない場合は遺贈寄付を明記しています。他にも、自身の葬儀の仕方など個人的に希望することも遺言書に明記できます。

遺言書において注意が必要、かつ私が体験したものの一つが株式です。会社経営や証券会社を通じて株式運用している方は、その行方を遺言書に記載しておかないと後々問題がでてきます。最近ではロボアドバイザーで株式運用するネットサービスもあり、これらのサービスで運用している株式取引も、その行方を記載していかなくてはいけません。運用会社を分散して株式運用している方は、証券会社から資料を取り寄せ、保有している株式や運用額等を記録しておくことをお勧めします。

私の周囲でも多いスタートアップ経営者は、自身の身にいつ何が起こるか分からないので、遺言書はマストで用意しておくべきだと思います。仮に民法に則って家族に分配した場合、その後の会社経営を考えると果たしてそれで良いのか。共同創業者がいれば彼らに分配するのか。分配するのではあれば、どういう条件で分配するのか。様々なことが考えられます。ファミリー経営や身内だけで会社を経営している方も同じです。株式の行方はその後の遺産相続争いだけでなく、会社の行方も左右しかねない問題です。

自分が死ぬ時という普段は考えない、かつ20代や30代であれば想定しずらいことではありますが、世の中何があるかわかりません。遺産の行方がパートナーだけであればそこまで難しくないかもしれませんが、子供兄弟がいれば状況も違います。自分が死んだときに両親や兄弟が存命である場合には、それぞれに遺産が渡る場合もあります。家庭環境によっては、遺産を渡したくない親族がいるかもしれません。個々の家族間で状況も違うので一概に答えはありませんが、遺言に関しては、事実婚のみならず、法律婚夫婦にもお勧めです。

とはいえ、なかなか遺言書を書くきっかけは難しいと思います。なので、個人的には「結婚する時」「子供ができた時」会社を設立した方は「会社設立時」、そして「50歳や60歳などの節目」、一般的には「定年になった時」に書くことをお勧めします。パートナーに対して「遺言書を書こう」と言い、相手がどのような反応をするかによって、その後の夫婦生活や家族生活が少し見通せるかもしれません。

一度書いた遺言書を書き換えることも可能です。遺言書を公正証書として原本保存することも可能(公正証書にすると一度書いたものを書き直すのに手間はかかります)です。とはいえ、持病や障害を持っている人以外は当面は事故や事件がない限りは存命でしょうし、財産の状況も変化してくるはずです。離婚や再婚等によって遺産を分配したい相手が変わる可能性もあります。なので、健康な方であれば、若いときに遺言書を作成し、50歳や60歳になって自身の財産がある程度目処がついた時点で、作成した遺言書を見直すこともお勧めします。

日本では、遺言書を書く人はいまだ少ないのが現状です。しかし、ある程度歳を経たあと、例えば認知症になった後に書いた遺言は冷静な判断で書いたかどうか怪しいものです。ぜひ、元気で意識がしっかりしているときに遺言書を書いておきましょう。

夫婦・家族生活をおくるにあたり、いざという時のために遺言書を書くによって、改めて夫婦や家族について考えるきっかけにもなります。死ぬ時というネガティブなイメージではなく、残された周囲の人たちに迷惑をかけないための最後の贈り物だと考えてみましょう。

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近況報告といいながら、多少説明的な内容になってしまいました。とはいえ、この約半年近くの間、改めて自身の生き方やこれから過ごす家族のあり方について自分なりに考えて行動した、その過程と結果の一端について、せっかくなのでまとめてみようと思いつらつらと書いてみました。

事実婚における契約書の作成にかかる様々な手続きややりとり、遺言書の作成など、おそらく周囲でこうした面倒な方法をする人は少ないと思います。こんな私の意見を受け入れてくれ、ともに作成してくれた妻に感謝しています。

子供が生まれたことによって、改めて社会を見る視点が大きく変わりました。生まれてきた子供だけでなく、友人の子供たち、そして世の中すべての子供達を愛でながら、私達が次世代に何を継承できるのか、継承していくべきかをこれまで以上に考えるようになりました。

いまだこの社会が子供を生み育てることの難しさをはらんでいることを当事者として実感しているだけでなく、夫婦別姓や性的マイノリティのパートナー制度等、様々な生き方、多様な価値観が存在する現在において、そうした人たちが豊かに生きられる社会にしていくために必要な制度や仕組みがいまだ確立されていないという現実にも改めて考えるようになりました。

私個人も含めて、こうした社会問題に対して強い意識をもって行動している方々が周囲にはたくさんいらっしゃいます。そうした方々とも含めて、あらゆる人達とともに、より良い社会としていくために何ができるのか、これからもともに考え、行動していきたいと思います。